てんかんやチック症など

関連ワード

突発性(脳に原因がある)部分てんかん

  • ローランドてんかん、原発性読書てんかん、パナイトポーラス症候群 など

突発性(脳に原因がある)全般てんかん

  • 小児欠神てんかん、若年性ミオクロニーてんかん など

症候性(原因がわからない)部分てんかん

  • 側頭葉てんかん、前頭葉てんかん など

症候性(原因がわからない)全般てんかん

  • 早期ミオクロニー脳症、レノックス・ガストー症候群、ウエスト症候群 など

 

 

チック症など

  • 音声チック、運動チック、トゥレット症候群、汚言症

不随意運動など

 

  • バリズム、コレア(舞踏運動)、ジストニア、ジスキネジア、アテトーゼ、パーキソニズム など

自閉スペクトラム症(ASD) 広汎性発達障害(PDD)  注意欠如・多動症(ADHD) 学習障害(LD)

てんかんとは?

てんかんとは、脳の神経細胞が一時的に異常な電気活動を起こすことで、繰り返し発作が生じる慢性の脳疾患です。

通常、脳の神経細胞(ニューロン)は規則的な電気信号で情報を伝達していますが、てんかんではこのリズムが乱れ、過剰な電気的興奮が起こります。

 

発作の種類と症状

発作は脳のどの部位で異常が起こるかによって異なり、以下のような症状が現れます:

意識消失、全身のけいれん、一部の筋肉の硬直、反応がなくなる(ぼんやりする)、感覚異常(耳鳴り、しびれなど)、自律神経症状(動悸、吐き気など)

 

分類

  • 症候性てんかん

脳に明らかな障害や病変がある場合(例:脳外傷、脳卒中、脳腫瘍など)

  • 特発性てんかん(素因性)

 

検査で異常が見つからず、遺伝的要因が関与していると考えられるタイプ

てんかんの現代の理解

てんかんはかつて三大精神病と呼ばれていたことがありました。

クレペリンが、精神疾患を「内因性精神病」として以下の3つに分類しました:

1. 精神分裂病(現在の統合失調症)

2. 躁うつ病(現在の双極性障害)

3. てんかん

 

現在の医学では、てんかんは「神経疾患」に分類されており、精神疾患とは明確に区別されています。

ただし、てんかんに伴って精神症状(うつ、不安、幻覚など)が現れることがあるため、精神医学との関連は今も研究されています。

日本では制度上、精神障害者保健福祉手帳の対象に含まれることもありますが、これは社会的支援のための枠組みであり、医学的な分類とは異なります。

ICD-11の分類

08 神経系の疾患

てんかんまたは発作

8A60  構造的または代謝性の病態または疾患によるてんかん

       H02770  神経変性と脳の石灰化を伴う早期発症てんかん発作

       H01826  海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん

 8A61  主にてんかんとして発現する遺伝的または推定される遺伝的症候群

       H00577  症候性全般てんかん

       H00808  特発性全般てんかん

       H02889  知的発達障害および異形症を伴うまたは伴わない X 連鎖性てんかん

       H01247  ピリドキシン依存性てんかん

       H01819  早期ミオクロニー脳症

       H02250  早期発症型ビタミン B6 依存性てんかん

       H02696  早期発症型てんかん

       H00806  良性家族性新生児けいれん

       H01818  ドラベ症候群

       H01815  遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん

       H01775  PCDH19 関連症候群

       H02212  家族性小児ミオクローヌスてんかん

       H02215  小児欠神てんかん

       H01823  ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん

       H01822  ミオクロニー欠神てんかん

       H01258  全般てんかん及び発作性ジスキネジア

       H02361  ミオクローヌス-脱力発作てんかん

       H02564  全般てんかん熱性けいれんプラス

       H02939  ローランドてんかん運動誘発性ジストニアおよび書痙

       H02217  若年性ミオクローヌスてんかん

       H02216  若年性欠神てんかん

       H02213  良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん

       H00809  家族性側頭葉てんかん

       H00810  進行性ミオクローヌスてんかん

       H01212  ニューロセルピン封入体を持つ家族性脳症

       H01994  ミオクローヌスてんかん Lafora型

       H01995  Unverricht-Lundborg 病

       H00807  夜間前頭葉てんかん

       H00836  グルコーストランスポーター1欠損症

       H02214  多様な焦点を示す家族性焦点性てんかん

 8A62  てんかん性脳症

       H01460  ウエスト症候群

       H01813  レノックス・ガストー症候群

       H01514  ランドウ・クレフナー症候群

       H00606  早期乳児てんかん性脳症

       H01808  片側痙攣・片麻痺・てんかん症候群

       H01812  ラスムッセン脳炎

       H01827  ローランドてんかん、精神遅滞および発語失行

       H01829  難治頻回部分発作重積型急性脳炎

       H02150  乳児または幼児てんかん性脳症

       H02360  小児発症てんかん性脳症

       H02472  早期発症進行性脳症

8A63  急性の原因による発作

       H00783  熱性けいれん

8A64  間接的な原因による単発の発作

8A65  単発の非誘発性発作

8A66  てんかん重積状態

8A67  急性群発発作

8A68  発作の種類

8A6Y  その他の明示されたてんかんまたは発作

8A6Z  てんかんまたは発作, 詳細不明

頭痛性疾患

8A80  片頭痛

H00775  片麻痺性偏頭痛

H02362  良性家族性乳児けいれん

8A81  緊張性頭痛

8A82  三叉神経・自律神経性頭痛

H01588  群発頭痛

8A83  その他の一次性頭痛

8A84  二次性頭痛

8A85  有痛性脳神経ニューロパチーまたは他の顔面痛

8A8Y  その他の明示された頭痛性疾患

8A8Z  頭痛性疾患, 詳細不明

 


運動障害

 

8A05  チック症

       H00862  トゥーレット症候群

8A06  ミオクローヌス性障害

H02789  家族性ミオクローヌス

H02819  新生児難治ミオクローヌス


ICD-10の分類

ICD-10では、第Ⅵ章 神経系の疾患ということでG00-G99のなかのG40-G47に「挿間性及び発作性障害」として分類されている。

挿間性及び発作性障害(G40-G47)


(G40)てんかん


含まない:

ランドウ・クレフナー症候群(F80.3)、発作(けいれん性)NOS(R56.8)、てんかん重積(状態)(G41.-)、トッド麻痺(G83.8) 

 

 0.局在的に発症する発作を伴う(巣状)(部分)特発性てんかん及びてんかん(性)症候群(G40.0)

G40.0

局在的に発症する発作を伴う(巣状)(部分)特発性てんかん及びてんかん(性)症候群

 

・中心側頭スパイクを伴う良性小児(期)てんかん  

・後頭(部)焦点波を伴う小児(期)てんかん

G40.0

局所性痙攣

 1. 単純部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群(G40.1)

G40.1

単純部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群

 

・意識障害を伴わない発作  

・続発性全身性発作に発展する単純部分発作

G40.1

ジャクソンてんかん

G40.1

局所性てんかん

G40.1

自律神経てんかん

G40.1

焦点性てんかん

G40.1

焦点性知覚性発作

G40.1

体知覚性発作

G40.1

遅発性てんかん

G40.1

聴覚性発作

G40.1

てんかん単純部分発作

G40.1

遊走性焦点発作を伴う乳児てんかん

 2. 複雑部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群 (G40.2)

G40.2

複雑部分発作を伴う(巣状)(部分)症候性てんかん及びてんかん(性)症候群

 

意識障害を伴う発作、しばしば自動症を伴うもの  

・続発性全身性発作に発展する複雑部分発作

G40.2

てんかん性自動症

G40.2

精神運動発作精神運動発作

G40.2

前頭葉てんかん

G40.2

側頭葉てんかん

G40.2

部分てんかん

G40.2

てんかん複雑部分発作

G40.2

海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん

 3. 全般性特発性てんかん及びてんかん(性)症候群(G40.3)

G40.3

全般性特発性てんかん及びてんかん(性)症候群

 

良性:乳児ミオクローヌスてんかん   ・新生児けいれん<痙攣>(家族性) 

・ 小児(児童)期アプ()サンスてんかん [ピクノレプシー]   

・覚醒時に大発作を伴うてんかん

 

若年(性):アプ()サンスてんかん   ・ ミオクローヌスてんかん [衝撃性小発作]

 

非特異性てんかん(性)発作:アトニー(無緊張)性   ・間代(けいれん)性   ・ミオクローヌス性   ・強直性   ・強直・間代(けいれん)性

G40.3

アトニー性非特異性てんかん発作

G40.3

アブサンス

G40.3

ミオクローヌスてんかん

G40.3

強直間代発作

G40.3

若年性アブサンスてんかん

G40.3

若年性ミオクローヌスてんかん

G40.3

小児期アブサンスてんかん

G40.3

進行性ミオクローヌスてんかん

G40.3

定型欠神発作

G40.3

良性新生児痙攣

G40.3

良性乳児ミオクローヌスてんかん

G40.3

ウンフェルリヒト・ルントボルグ病

G40.3

ラフォラ病

G40.3

良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん

 4. その他の全般性てんかん及びてんかん(性)症候群(G40.4)

G40.4

その他の全般性てんかん及びてんかん(性)症候群

 

下記を伴うてんかん:   ミオクローヌス(性)アプ()サンス(欠神発作   ・ミオクローヌス(性)起立不能発作  

・点頭けいれん

・レノックス・ガストー症候群

・拝礼発作

・症候性早期ミオクローヌス(性)脳症  

・ウェスト症候群

G40.4

ウエスト症候群

G40.4

レノックス・ガストー症候群

G40.4

点頭てんかん

G40.4

乳児重症ミオクロニーてんかん

G40.4

ミオクロニー欠神てんかん

G40.4

ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん

G40.4

大田原症候群

G40.4

早期ミオクロニー脳症

G40.4

PCDH19関連症候群

G40.4

ドラベ症候群

 5. 特殊なてんかん症候群(G40.5)

G40.5

特殊なてんかん症候群

 

継続性部分てんかん[コチェフニコフ(コジェヴニコフ)]

次に関連するてんかん発作:アルコール ・薬物 ・ホルモン性変化 ・睡眠喪失 ・ストレス

薬物誘発性で, 薬物の分類が必要な場合は, 追加外因コード(ⅩⅩ章)を使用する。

G40.5

アルコールてんかん

G40.5

ストレスてんかん

G40.5

持続性部分てんかん

G40.5

睡眠喪失てんかん

G40.5

薬物てんかん

G40.5

片側痙攣片麻痺てんかん症候群

G40.5

ラスムッセン脳炎       ICD10-1 G04.8

G40.5

難治頻回部分発作重積型急性脳炎

G40.5

視床下部過誤腫症候群     ICD10-1 Q85.8

 6. 大発作、詳細不明(小発作を伴うもの又は伴わないもの) (G40.6)

G40.6

大発作、詳細不明(小発作を伴うもの又は伴わないもの)

G40.6

てんかん大発作

 7.  小発作、詳細不明、大発作を伴わないもの (G40.7)

G40.7

小発作、詳細不明、大発作を伴わないもの

G40.7

てんかん小発作

 8.  その他のてんかん (G40.8)

G40.8

その他のてんかん

 

巣状又は全身性の不明なてんかん及びてんかん症候群

G40.8

モーア症候群

G40.8

家族性痙攣

G40.8

光原性てんかん

G40.8

術後てんかん

G40.8

症候性てんかん

G40.8

聴覚反射てんかん

G40.8

難治性てんかん

G40.8

反応性てんかん

G40.8

腹部てんかん

G40.8

ビタミンB6依存性てんかん

G40.8

睡眠時棘徐波活性化を示すてんかん性脳症

G40.8

睡眠時棘徐波活性化を示す発達性てんかん性脳症

 9.  てんかん、詳細不明(G40.9)

G40.9

てんかん、詳細不明

 

てんかん(性):全身けいれん NOS   ・発作 NOS

G40.9

てんかん

G40.9

後天性てんかん

I69.4

脳卒中後てんかん  ICD10-1G40.9

G40.9

脳炎後てんかん      ICD10-1G09

G40.9

てんかん合併妊娠  ICD10-1O99.3

G44.8

てんかん発作による頭痛  ICD10-1G40.9

(G41)てんかん重積(状態)


 0.  大発作性てんかん重積(状態)(G41.0)

G41.0

大発作性てんかん重積(状態)

 

・強直・間代性てんかん重積(状態)

含まない

継続性部分てんかん[コチェフニコフ(コチェヴニコフ)](G405

G41.0

大発作持続状態

 1.  小発作てんかん重積(状態)(G41.1)

G41.1

発作てんかん重積(状態)

 

欠神発作重積(状態)

G41.1

欠神発作重積状態

G41.1

小発作持続状態

 2.  複雑性部分てんかん重積(状態) (G41.2)

G41.2

複雑性部分てんかん重積(状態)

G41.2

精神運動発作重積症

G41.2

部分発作重積状態

 8.  その他のてんかん重積(状態) (G41.8)

G41.8

その他のてんかん重積(状態)

 9.  てんかん重積(状態)、詳細不明 (G41.9)

G41.9

てんかん重積(状態、詳細不明

G41.9

てんかん重積状態

(G43) 片頭痛


薬物誘発性で、薬物の分類が必要な場合は、追加外因コード(ⅩⅩ章)を使用する。 

含まない:頭痛 NOS(R51) 

 

 

G43

片頭痛

G43.0

前兆(アウラ)を伴わない片頭痛[普通型片頭痛]

G43.0

普通型片頭痛

G43.0

前兆のない片頭痛

G43.1

前兆(アウラ)を伴う片頭痛[古典型片頭痛]

G43.1

典型片頭痛

G43.1

片麻痺性片頭痛

G43.1

前兆のある片頭痛

G43.1

典型的前兆を伴う片頭痛

G43.1

典型的前兆に頭痛を伴う片頭痛

G43.1

典型的前兆のみで頭痛を伴わない片頭痛

G43.1

脳幹性前兆を伴う片頭痛

G43.1

家族性片麻痺性片頭痛

G43.1

遷延性前兆で脳梗塞を伴わない片頭痛

G43.1

孤発性片麻痺性片頭痛

G43.2

片頭痛発作重積状態

G43.2

持続性片頭痛

G43.2

片頭痛発作重積

G43.3

合併症を伴う片頭痛

G43.3

眼性片頭痛

G43.3

片頭痛性前兆に誘発される痙攣発作

G43.8

その他の片頭痛

G43.8

眼筋麻痺性片頭痛

G43.8

網膜片頭痛

G43.8

片頭痛に関連する周期性症候群

G43.8

前庭性片頭痛

G43.9

片頭痛詳細不明

G43.9

片頭痛

G43.9

慢性片頭痛

小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)


(F95)チック障害


主要症状がいくつかの型のチックからなる症候群。

チックは不随意に、生じる、急速で反復性で、律動的でない運動動作(通常は限局した筋群が関与している)か、あるいは突然生ずる明らかな目的のない発声である。

チックは抗し難いものとして体験されがちであるが、しかし通常は、その期間はさまざまであるが抑制できるものであり、ストレスによって悪化し、睡眠中は消失する。

普通の単純な運動性チックは、瞬目、首を急激に振ること、肩をすくめること、顔をしかめることなどである。

普通の単純な音声チックは喉をならすこと、吠えること、鼻をすすること、歯擦音を出すことなどである。

普通の複雑チックとしては、自分を叩くことや跳ねること、片足跳びなどが見られる。

普通の複雑音声チックとしてはある単語を繰り返し発音するが、時として社会的に受容されない(卑わいな)単語(汚言<コプロラリア>)の使用や、自分自身が発声した単語や音声の反復(パリラリア)などが見られる。  

 0.一過性チック障害(F95.0)

F95.0

一過性チック障害

 

チック障害の概括的基準に合致するが、チックは12か月より長期にわたって持続することはない。通常は瞬目、しかめ顔又は頭を振る形をとる。

F95.0

一過性チック障害

 1. 慢性運動性又は音声性チック障害(F95.1)

F95.1

慢性運動性又は音声性チック障害

 

チック障害の概括的な基準に合致し、そのなかで運動性又は音声性チック(ただし両者ともではない)があり、それは、単発性か多発性か(通常は多発性)であり、1年以上持続する。

F95.1

慢性運動性チック障害

F95.1

音声性チック障害

 2. 音声性及び多発運動性の両者を含むチック障害[ドゥ・ラ・トゥーレット症候群](F95.2)

F95.2

音声性及び多発運動性の両者を含むチック障害[ドゥ・ラ・トゥーレット症候群]

 

チック障害の一つの型で多発運動性チックと、一つ又はそれ以上の音声チックが見られるか、又はこれまでに見られたものであるが、しかしこれらが同時に生じてきたものである必要はない。

この障害は、通常は青年期に悪化し、成人期にまで持続する傾向を示す。

音声チックは多発的で、爆発的で反復的な発声、喉をならすこと、ぶつぶつ言うこと、 卑わいな単語や文句を使用するなどを伴う。

ときには身振りでの反響動作が合併し、その動作は卑わいな特徴を持つものであることもある(コプロプラキシア)。

F95.2

ジル・ドゥ・ラ・トゥーレット症候群

 8.  その他のチック障害(F95.8)

F95.8

その他のチック障害

F95.8

眼瞼チック

F95.8

顔面チック

 9.  学習能力発達障害、詳細不明(F81.9)

F95.9

チック障害、詳細不明

 

・チック NOS

F95.9

チック障害


てんかんのお薬

てんかん チック症 トゥレット症候群 片頭痛