純粋な気づき
以前のブログでバイロン・ケイティさんの「ザ・ワーク」を取り上げました。
ジャッジメント・ワークシートのセルフワークのやり方を紹介しましたが、文字の説明はなかなか入ってこないのではないかなと思いました。
やはり、実際の問答を見ることで、何が起こっているのかを目の当たりにすることができます。
そこで、下にリンクを貼った、Youtubeの動画、わずか10分ほどの動画ですが、これが本当にすばらしくエッセンスが凝縮されていて、ぜひ見てほしいと思いました。
ここで、バイロン・ケイティさんがおこなっていることは、まさしく「産婆術」であり、産婆さんの役割を果たしております。
「気づき」を得る主体はあくまでも「私」なのだということ。
いままで、相手の方向のみに向いていた指先が、まさに「ターンアラウンド(反転)」して自分に向いたとき、今まで見えなかった気づきを与えてくれます。
それが、この短い動画の中で見事に表現されているのです。
わざとらしさもなく、自然なやり取りの中から、自分で「気づく」、その手助け「産婆」をしてくれています。
気づきというのは、これほど美しく、まさにアートです。
おさらい
ザ・ワークの4つの質問
①それは本当ですか? →「はい」なら②へ、「いいえ」なら③へ
②その考えが絶対に本当だと言い切れますか?
③その考えを信じるとき、あなたはどう反応しますか?
④その考えがなければ、あなたはどうなりますか?
置き換え(反転)
①「自分自身」に置き換える:(Aさんは私に感謝しない⇒私は、私自身に感謝をしない。)
②「主語」を置き換える:(Aさんは私に感謝しない⇒私は、Aさんに感謝をしない。)
③「内容を反対」に置き換える:(Aさんは私に感謝しない⇒Aさんは、私に感謝をしてくれる。)
ザ・ワークのすばらしいところ
”あなたが、自分の問題の原因は「外」にあり、誰かや何かのせいだと考えている限り、状況が改善する見込みはありません。あなたは永遠に被害者にとどまり、本来は平和の中にいられるにもかかわらず、苦しんでいるのです。ですから、自分に真実を取り戻し、自分を解放しましょう。質問と置き換えの組み合わせは、本質的自己に気づくための早道です。”
バイロン・ケイティ - ザ・ワーク 人生を変える4つの質問 - P.158
”例:「ポールは不親切だ」⇒置き換え「私は不親切だ」
自分をふりかえり、この置き換えた文章が自分の日常で当てはまると思える状況を見つけましょう。あなたはポール(適切な名前に変えてください)に不親切だったこともありますか?
まず、「ポールは不親切だ」と考えるとき、あなたがどのように反応するか、彼にどう接するかを検討しましょう。ポールを不親切だと感じる瞬間、自分が彼に対して不親切になっていませんか? ポールが不親切だと信じ込んでいるときの感覚を味わってみてください。体がこわばり、心臓の鼓動が速まり、顔が紅潮しているかもしれません。この状況は、自分自身に優しいと言えるでしょうか? 批判的で、防衛的になっていないでしょうか? 心の中で、どう感じているでしょうか? こうした反応は、探求されていない考えがあるためなのです。
例えば、ポールが侮辱してくるとき、あなたは頭の中でその場面を何度再現しますか? 今日、一度だけあなたを侮辱したポールと、彼のただ一回の侮辱を何度も頭の中で再現したあなたでは、どちらがより不親切でしょうか。そして、あなたの感情は、ポールの行動そのものの結果でしょうか? それとも、彼の行動に対する自分自身の価値判断によるものでしょうか?
少しの間、静かに味わい、深めてください。その際には、自分自身の領域にとどまり、ポールの領域にはふみこまないように注意してください。”
バイロン・ケイティ - ザ・ワーク 人生を変える4つの質問 - P.159-160
ザ・ワークの基本的な考え方
1.自分の考えが現実と闘っていることに気づく
ある信念をもとに、現実に闘いを挑むこと。これらが毎日の生活の中で何度も何度も繰り返されています。「人はもっと思いやりを持つべきだ」、「スーパーのレジはもっと早く進むべきだ」など無数の現実に抵抗する考えです。現実と闘えば100%負けます。抵抗することによる緊張やストレスなどが、いわゆる「苦しみ」と呼ばれるものの正体だと思います。抵抗や内面の葛藤なしに、ものごとをあるがままに見ることは可能です。
2.自分自身の領域にとどまる
この世には、3種類の領域「私の領域」「あなたの領域」「神の領域」しかない。
上でいう「現実」が神を意味します。気象などだれもがコントロールできないものは「神の領域」でしょう。あたまの中で考える「(あなたは)もっと幸せになってほしい」「(あなたは)時間通りに来るべきだ」などは、「あなたの領域」でありそこに入り込んでしまっています。アドラー言うところの「課題の分離」が必要でしょう。
3.自分の考えを理解する
「考え」それ自体は信じなければ無害です。それらは、どこからともなくやってきては消えていく雲のように眺めていれば何の害もありません。考えは信じなければ無害です。長い間、思い込んだり、執着してきた考えのことを「信念(ビリーフ)」といいます。執着するということは、1つの雲をずっととどめておこうとする無駄な努力であり、そんなことはできないのです。
「自分の考えを手放すのではなく、理解する。すると、考えの方が、私を手放してくれる」
4.自分のストーリーに気づく
「現実」だと思い込んでいる「考え」を「ストーリー」と呼ぶ。ストーリーは検証や探求していないも関わらず、何らかの意味づけをしている「考え方」。これらの折り重なったストーリー、何が起きているのか、検証しないまま信じ込んだ考えに基づいて動き、そのことに気づいてさえいないのは、夢の中にいることと同じです。ワークをすることで、「それが本当かどうか」を検証することができます。
5.苦しみの背後にある考えをつきとめる
すべての不快な感情の背後には、真実でない考えが隠れている。「風が吹いてほしくない」など現実に抵抗する考えをもつことでストレスを感じ、それを解消するために他者を変えようとしたり、お酒やお金、薬物など外側に解決を求めることで、さらに苦しみを長引かせます。つまり、落ち込みや痛み、恐れなどの苦しみは「あなたは真実ではないストーリーの中で生きていますよ。」と気づかせてくれる優しい目覚まし時計だということです。何が真実ではないのかという理解によって、自然に離れることができます。
(考えを持つ前)苦しんでいない⇒(考えを持つことによって)苦しむ⇒(理解によって考えを手放すことによって)苦しみがなくなる。
6.問いかけ(探求)
問いかけという方法は、混沌に見える世界であっても混乱を終わらせ、内なる平和をもたらします。
私たちが必要とするすべての答えは、いつでも自分の中にあると気づかせてくれます。
ザ・ワーク
人生を変える4つの質問 人生を変える4つの質問
バイロン・ケイティ (著), スティーヴン・ミッチェル (著), 神田房枝 (翻訳), ティム・マクリーン (監修)
